次世代マーケティング:サードパーティCookie廃止という名の大地震

「同じ広告がどこ行っても追いかけてくる」その正体の中心にいたのが サードパーティCookie です。いま、その仕組みが揺れてます。

Cookieってなに?(ブラウザに残る小さなメモ帳)

Webの通信(HTTP)は基本的に記憶を持ちません。
だからこのままだと、サーバーから見るとユーザーは毎回「初対面」になります。そこで登場するのがCookie。サーバーがブラウザに「短いメモ」を書き残し、次に来たときに読み返す仕組みです。

  • 「ログイン状態を維持する」
  • 「カートに入れた商品を覚えておく」
  • 「設定(言語・表示など)を保持する」

要するにCookieは、Webをただのファイル転送から体験のあるアプリに進化させた、地味に偉い存在です。

1stパーティCookie / 3rdパーティCookieの違い

1stパーティCookieあなたが今見てるサイト(同一ドメイン)が発行して読み書きするCookie。
例:ECサイトのログイン・カート保持など。
3rdパーティCookie訪問サイトとは別ドメイン(広告ネットワーク、解析タグ等)が発行して読み書きするCookie。
サイトを横断してユーザーを追いかけるのが得意で、これが
ターゲティング広告
リターゲティング広告
広告効果測定(コンバージョン計測)
などを長年支えてきました。

なぜサードパーティCookieは嫌われたのか

理由はシンプルに言うと、「行動を勝手に見張ってんじゃねぇ」って話です。

  • 横断追跡:ユーザーが気づかぬうちにサイトA/B/Cをまたいで追跡される
  • 同意の問題:各国のプライバシー規制が「同意なきトラッキング」を問題視

そしてブラウザ側もバキバキに対策。

  • Safari は「サイトをまたぐ追跡を防ぐ」設定を提供
    さらに WebKit(Safariのエンジン)側では、ITPで第三者Cookieを強く制限する設計が説明されています
  • Firefox はクロスサイト追跡Cookieをデフォルトで無効化する方針を明記

Chromeは2025年に完全廃止」…の予定だった(が方針転換)

Chromeも段階的に3rd-party Cookieを廃止する計画でしたが 2024年7月、Googleは廃止ではなくユーザー選択モデル”を提案しました。廃止する代わりに、Chromeでユーザーが一括選択できる仕組みにしたのです。つまり今は、完全廃止で一本化の方針がユーザーの選択を軸にした世界” に舵が切られています。

サードパーティCookieが弱まると何が起きる?

1) リターゲティングの精度低下

「一度見た商品を追いかけて広告を出す」が弱くなる。あの執念深い追尾広告が、少しだけ成仏します。

2) 広告効果測定が欠ける

コンバージョン計測が欠落しやすくなり、「どの広告が売上に効いたの?」が見えにくくなる。

3) オーディエンス設計が難化

興味関心セグメントを作る材料が減って、ターゲティングが雑になりがち。

代替策:次世代マーケの代替一覧

1stパーティデータ(自社データ)会員登録、メール、購買履歴、問い合わせ履歴など。王道だけど最強。結局ここが太い会社に解析精度が高まります。
コンセントマネジメント(同意管理)「Cookie使っていい?」ポップアップで同意を取るやつです。ただし、同意率とUXはトレードオフになりやすいので設計が腕の見せ所です。
サーバーサイド計測ブラウザ側でブロックされやすい計測を、サーバー側経由で補う。(例:GA4のサーバーサイドタグ、各種Conversions API系)
データクリーンルーム広告主とプラットフォーム(Google/Meta等)が、直接生データを渡さずに
安全な環境で突合・集計する仕組み。
個人が特定できない形で加工(ハッシュ化等)
集計結果だけ取り出す
「どの広告が売上に貢献したか」を分析しやすい
ただし、導入・運用コストは高め。本気の体力ある組織向け。
プライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)Cookieの代わりに、ブラウザ内で匿名化・集計して広告の要点だけ渡すAPI群をGoogle手動で構築しようというプロジェクト。ただし方向性はずっと揺れていて、Google自身も「ユーザー選択モデル」へ方針転換を表明しています

流入元計測は難化の一途

流入元計測は、正直言って楽にはなりません。計測が分裂して面倒くさくなる方向に進んでいます。昔はユーザーを追って、広告→CVを1本の線で結べばOKでしたが。これからは欠損前提で、複数の手法を組み合わせて「当てにいく」より「確かめにいく」世界になります。

SafariやFirefoxは、クロスサイト追跡抑止方向で進化しました、これが強くなると、流入→行動→CVのひも付けが欠けやすくなります。しかしChromeがユーザーに選ばせる方向へ寄ったことで、環境が統一されなくなりました。結果、同じ広告を打ってもAさんは計測できる / Bさんは欠けるみたいなムラが増えることになりました。

これまではユーザー単位で追えた流入元計測はこれから欠損前提で推定と検証で詰める必要があります。

岡崎龍夫

Eclo編集長。デザイナー、エンジニア、コンサルタント、ライターなど様々な職域を持つがもともとは俳優。表方の舞台活動から裏方のアートマネジメントに移行し、都内で舞台のプロデュースを手がけてるうちに、デザイン、WEB開発、マーケティングといった職能を身につける。趣味はDJとアザラシ探訪。現在は合同会社elegirlを設立し、WEBの企画、開発、コンサルティングを中心に活動している。