
都内でデザイナーとして生計を立てるようになって、5年になります。
この記事では、これからフリーランスのデザイナー・エンジニアとして独立を考えている方に向けて、少しでも実践的なヒントをお伝えできればと思います。
先に結論を書くと、フリーランスのデザイナー・エンジニアとして活動するなら、業務委託案件を扱うエージェントに登録しておくことを強くおすすめします。
「せっかく自由になったのに、今さら仕事のスタイルを縛られたくない」
「独立後も親会社からの定期受注があるから必要ない」
そう思う方もいるかもしれません。もちろん、その考え方も分かります。それでもなお、私は「とりあえず登録しておく」ことに大きな価値があると感じています。
業務委託とは何か
簡単に言えば、企業から仕事を外部委託で請ける働き方です。
フリーランス向けのエージェントは、週2日から週5日まで、希望に応じた案件を紹介してくれます。リモートワーク可能な案件も少なくありません。
たとえば企業側としては、「正社員を1人フルタイムで雇う予算はないけれど、週2日ほどデザイナーに入ってほしい」といったニーズがあります。業務委託は、そうしたニーズと、フリーランス側の柔軟な働き方をうまく結びつける仕組みです。
業務委託のメリット1 固定収入を確保できる
フリーランスの仕事が軌道に乗り、月40万、50万と売上が立つようになっても、収入にはどうしても波があります。
たとえば、今月は10万円、来月は100万円、といったような極端な振れ方をすることも珍しくありません。
これは、クライアントごとに支払いサイトや請求ルールが異なるために起こるものです。
この収入のムラが、地味に、いやかなりきついです。来月は入金があると分かっていても、今月の手元資金が薄い。未来にはうまい飯の気配があるのに、今月は食パンにジャムを塗るのすらためらう。そんな時期を、私は何度も経験しました。
だからこそ、週に数日でも業務委託案件を入れて、固定収入を確保しておくことの安心感は本当に大きいです。
この手堅さは、フリーランスを続けるうえでかなり尊いものだと思います。
業務委託のメリット2 生活のリズムが整う
フリーランス3年目の頃、私は少し生活が破綻していました。
起きたら仕事を始め、眠くなるまで作業する。体力が尽きたら寝て、眠れるだけ眠る。
時間の区切りはあいまいで、ただただ不規則な生活の中で案件をこなしていました。
まず昼夜のバランスが崩れ、次に曜日感覚がなくなり、最終的には季節感まで怪しくなりました。
「あれ、今って7月だっけ? この前年明けたばっかりだったはずなのに」みたいな、なかなか終わってる状態です。
これはさすがにまずいと思い、生活を立て直すための手段として選んだのが業務委託でした。
週2日の出勤があるだけで、時間の感覚、曜日の感覚、季節感が少しずつ戻ってきたのです。出勤なんて、会社員時代はあれほど面倒に感じていたのに、いざ失うとありがたみが分かる。人間、勝手なもんです。
業務委託のメリット3 スキルアップにつながる
フリーランスになった以上、スキルアップも完全に自己責任です。書籍を買って学ぶ、勉強会に参加する。もちろんそれも大切です。ただ、やはり一番身につくのは実務の中で覚えることだと感じます。
組織には組織ごとのやり方があり、現場には現場ならではの知見があります。私自身、業務委託案件を通じて、さまざまなツールやワークフローに触れ、実践の中で身につけることができました。
独学だけでは届きにくいアップデートに触れられること。それはフリーランスにとって、かなり大きな価値です。
業務委託のメリット4 人と関われる
生活リズムが崩れていた時期、同時に感じていたのが、孤独による精神的なしんどさでした。
大きめの案件に集中して、毎日ひたすら一人で作業していたある時、ふと気づいたんです。「この1週間、コンビニの店員さんとしか会話してないな」と。これは地味に効きます。
いや、地味どころか、じわじわ人をおかしくします。
業務委託の案件に入ることで、チームの中で人と関わる機会が生まれます。
雑談でも、相談でも、確認のやりとりでもいい。
その「仕事を通じた他者との接点」が、想像以上に心を安定させてくれるのです。
ここまで書いて改めて思いますが、私はほんとうに不器用なタイプです。
でも、だからこそ、こういう仕組みに助けられました。
業務委託のメリット5 見積もり感覚が身につく
フリーランスの案件では、基本的に自分で見積もりを出します。
この「予算感」をつかむのが、最初は本当に難しい。
高い案件だから大変、安い案件だから楽、という単純な話でもありません。むしろ、そのへんが全然一致しないのがこの仕事のややこしいところです。
業務委託案件でも見積もりは必要ですが、エージェントと相談しながら調整できる場合があります。
その過程で、相場感や、自分のスキルに対する市場評価が少しずつ見えてきます。
また、組織の中でチームの一員として働くことで、自分の立ち位置を客観的に捉えやすくなるのも大きな利点です。
「自分は今どのくらいのレベルなのか」「どの価格帯で勝負すべきなのか」を知る手がかりになる。
これも、業務委託の見えないメリットのひとつだと思います。
おすすめのエージェント
以上、業務委託をおすすめする理由を5つ紹介しました。
「どのエージェントに登録すればいいのか」で迷う方も多いと思うので、最後に、一覧を掲載しておきます。
| ランサーズ テックエージェント | ITフリーランス向けのエージェントで、エンジニア中心ながら、開発PM・UI/UXデザイナー・マーケター・Webディレクターまでカバーしています。公式案内では週4〜5日案件が中心、別ページでは週3〜5日で参画可能な案件を多数掲載、さらに非公開案件が約80%以上とされています。がっつり本業として入る人向けに強いです。 |
| シューマツワーカー | 名前の通り、副業・複業文脈に強いサービスです。実際の掲載案件でも、10〜20時間/月、30〜40時間/月、40〜80時間/月のような小〜中稼働案件が見られ、フルリモートや基本リモート案件も確認できます。独立前の助走や、複数案件を並走したい人に相性がいいです。 |
| GEECHS JOB(ギークスジョブ) | ITフリーランス特化の王道エージェント。公式サイトでは、専任キャリアアドバイザーによる支援と非公開案件の紹介を打ち出しています。法人向け説明では、20年以上ITフリーランス領域に特化してきたと案内されています。エンジニア寄りで、腰を据えて案件を取りたい人向けです。 |
| レバテックフリーランス | 案件数の母数でまず強い定番。取引社数は10,000社以上、リモート参画率は91%以上、平均年収は881万円と、選択肢の広さと単価のバランスが魅力です。まず登録して市場感をつかむ用途でも優秀。 |
| Midworks | 公開案件15,000件以上、リモート案件87%以上。さらに、標準的な支払いサイトが20日と比較的短く、キャッシュフロー面でも使いやすいです。独立初期の「収入の波が怖い」勢にはかなり現実的。 |
| ITプロパートナーズ | 週2〜3日案件に強いのが最大の特徴。掲載案件は8,000件以上、しかも9割が直案件で、高単価寄りの案件を狙いやすいです。自社事業を並行したい人、副業から独立へ移る人と相性がいい。 |
| クラウドワークス テック(旧クラウドテック) | リモート案件を長く強化してきたサービスで、場所を問わず働きたい人向けに強いです。実際に週2日〜フルリモート案件も掲載されています。地方在住や、通勤でHPを削られたくない人にはかなり相性がいい。 |
| FLEXY(フレキシー) | エンジニアだけでなく、デザイナー・ディレクター・マーケ職までカバーしているのが強み。週1〜5日まで幅広く、フルリモート案件もあり、UI/UXデザイン案件も確認できます。デザイン寄りの人にはかなり見やすい。 |
複数に登録しておくのがおすすめです。案件の傾向や担当者との相性もありますし、選択肢は広いに越したことはありません。登録しておいて、必要なタイミングで比較・活用できる状態を作っておくのが一番現実的です。
まとめ
以上、フリーランスのデザイナー・エンジニアとして独立するなら、業務委託エージェントに登録しておくべきだ、という話でした。もちろん、すでにフリーランスとしての働き方を完全に確立していて、営業も収入管理も生活リズムも全部うまく回せている人にとっては、必ずしも必要ないかもしれません。
ただ、少なくとも私にとっては、業務委託は収入を安定させ、生活を整え、スキルを磨き、人との接点を取り戻し、自分の現在地を知るための大きな支えになってくれました。
そして何より、いろいろなチームの中に入り、いろいろな方法論に触れながら働くのは、単純に楽しいです。独立とは、孤独に全部を背負うことではなく、自分なりにうまく外部の力を使いながら、戦い方を作っていくことなのだと思います。
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岡崎龍夫
Eclo編集長。デザイナー、エンジニア、コンサルタント、ライターなど様々な職域を持つがもともとは俳優。表方の舞台活動から裏方のアートマネジメントに移行し、都内で舞台のプロデュースを手がけてるうちに、デザイン、WEB開発、マーケティングといった職能を身につける。趣味はDJとアザラシ探訪。現在は合同会社elegirlを設立し、WEBの企画、開発、コンサルティングを中心に活動している。